学習用端末で収集される小中学生の個人情報の保護に不備がある問題で、文部科学省は全ての教育委員会を対象にした実態調査に乗り出す方針を固めた。29日には、個人情報を含む教育データを扱う際の留意事項の改訂版を公表。教委の対応期間を経た今夏にも、改善状況を把握する考えだ。

文部科学省

 文科省が教育データに特化して全教委調査を行うのは初めて。年内に結果を取りまとめ、個人情報の適正管理を徹底させる。

 全国の小中学校では「GIGAスクール構想」の下、児童生徒1人に1台の学習用端末が行き渡った。端末では民間業者の学習用アプリが使われ、児童生徒の氏名やテスト結果などのデータが収集されている。

 しかし、昨年4月施行の改正個人情報保護法で自治体に義務付けられた利用目的の特定と明示をしていない教委があり、読売新聞の取材では、政令市など74自治体のうち17自治体が目的を定めず、33自治体が明示をしていなかった。今月中旬の本紙報道後に見直す自治体も出てきている。

 文科省は改正法施行前に留意事項の初版を公表していたが、徹底されていなかった。改訂版では、利用目的の特定・明示が必須であると強調し、特定の際の検討事項を具体的に示すなどして対応を促した。

 文科省は、改訂版についての教委向け説明会を5月にオンラインで開く。