岐阜県内の子どもの貧困率が6・7%で、5年前の初調査から0・5ポイント改善したことが県子ども調査で明らかになった。しかし、授業の理解度や自己肯定感が貧困家庭では低くなるなど、家庭の所得による格差がみられた。県は結果を分析し、今後の取り組みに生かすことにしている。
学習時間も
調査は2018年度に初めて実施し、今回が2回目。昨年11月に小学5年、中学2年の児童生徒各2000人、小学1、5年、中学2年の保護者各2000人の計1万人を無作為抽出し、郵送かオンラインで4447人から回答を得た。
調査では、貧困線未満で貧困家庭に当たる世帯を所得区分「I」とし、Iを超えてIの1・5倍未満までを「2」、2を超えてIの2倍未満までを「3」、3を超えてIの2倍以上を「4」とした。
学校の授業の理解度は、所得が上がるほど高くなった。授業が「わかる」(「わからないことは少ない」「わからないことは全然ない」の合計)と答えた割合は、小学5年生ではI40・4%、247・2%、348・2%、460・5%と所得が上がるほど上昇。中学2年生もI24・5%、228・8%、342・0%、443・8%と同様の傾向になった。
中学2年生で学校以外の平日の学習時間が「2時間以上」はIが9・5%、4が24・6%、「学習しない」はIが13・2%、4は6・9%だった。学習塾に通う割合もIが37・7%だったのに対し、4は61・6%に上った。
理想と現実
進学希望に関する理想と現実の差も所得が低いほど顕著に表れた。
中学2年生に将来の進学希望で「理想的には将来どの学校まで行きたいと思うか」「現実的にはどの学校まで行くことになると思うか」の2点を尋ねたところ、「高校まで」を選んだ割合は理想、現実ともIが最も高く、「大学まで」は4が最も高くなった。
Iは理想では大学、高校とも37・7%で同じだったが、現実は大学28・3%、高校41・5%と開いた。
「自分は価値のある人間だと思う」という自己肯定感も、「とてもそう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計が2~4では小学5年生、中学2年生とも6~7割台だったが、Iは5割台にとどまった。
県子ども家庭課の担当者は「無料で学べる場を増やすなどして、学習の動機付けの支援を行いたい。勉強すれば自信がつき、選択肢が広がることもある」と話した。
◆子どもの貧困率
=世帯の手取り収入を世帯人員の平方根で割った中央値の半分を「貧困線」(今回の調査では137万円)とし、貧困線未満の子どもがいる世帯の割合。県とは調査方法などが異なるが、国の2022年国民生活基礎調査によると、子どもの貧困率は11.5%。