生徒による「自治」を掲げる学校は多くありますが、この学校は一味違います。今年4月から共学化をスタートさせた自由学園中等部・高等部(東京都東久留米市)では、「生活即教育」という精神で学校運営に生徒が積極的に関わってきました。制服ひとつをとっても、生徒が「メーカー選び」から行う徹底ぶり。生徒たちはどのように受け止めているのでしょうか。
「共学化」に向け生徒が議論
自由学園(東京都東久留米市)
これまで、同じ敷地内の別校舎で「男子部」と「女子部」に分かれていた自由学園。共学化は、授業もイベントも別々だった二つの学校が一緒になるようなもの。当然、学校生活のルールも大きく変わります。
「生活即教育」の考え方から、学校では生徒の「自治」が尊重されていて、ルール作りも生徒に任されます。「制服はどうする?」「寮生活のルールは変える?」。共学化まで1年のタイミングで、男子部と女子部の中2~高2の約20人による「共学化係」が設けられ、共学化後の学校づくりについて話し合いを始めました。
まず議題に上ったのは、「委員」と呼ばれる生徒会組織について。これまでは男子部、女子部それぞれに組織があり、選挙の仕方もバラバラだったそう。委員長は男女1人ずつにするのか、全体で1人を選ぶのか――。係で作った原案をもとに、最後は全校会議にはかり、委員長も副委員長も男女1人ずつという結論になりました。
新入生歓迎会を開催
共学化にともなって、これまで一緒だった中高の校舎は別々になりますが、「長く
培(つちか)
ってきた中高のつながりを大事にしたい」という考えから、中高合同で新入生歓迎会を開くことも生徒たちで決めました。
係の一員だった新高2の松岡玲那さん(16)は「自分たちのルールは自分たちで決めることで、行動に対する責任が持てると思う」と話します。
話し合いの過程を全校に知らせるためにトイレに貼り出した「共学化新聞」
ちなみに、制服についても生徒たちのプロジェクトチームが作られ、「そもそも制服は必要なのか」というところから議論をスタート。服の製造過程で環境にかかる負荷などに問題意識を持ち、メーカー選びから変更に向けた話し合いが進んでいます。生徒たち自身の手で、学園は常に進化を続けているのです。
(全文は読売中高生新聞4月5日号掲載)
学校プロフィル
自由学園中等部・高等部(東京都東久留米市)
【生徒数】中等部:224人、高等部:263人
【歴史】ジャーナリストの羽仁もと子・吉一夫妻が1921年(大正10年)に設立
【高校卒業後の進路】27%が系列の最高学部(大学)に内部進学。海外留学などを選ぶ卒業生も