公立学校教員の給与増を検討している文部科学省の中央教育審議会が、残業代の代わりに一律支給されている「教職調整額」を基本給の4%から、10%以上に引き上げる案をまとめたことが12日、わかった。近く開かれる特別部会で示す。約50年ぶりに教員の待遇が改善される見通しとなった。

文部科学省

 中教審の特別部会では昨年6月以降、教員の給与増や働き方改革などの議論を重ねており、教職調整額の引き上げ幅が大きな焦点となっていた。

 教員の給与を巡っては、1971年に教員給与特別措置法(給特法)で教職調整額が規定されてから変わっておらず、現場から「勤務実態に見合っていない」などの声が出ていた。

 近年、教員の長時間労働が問題となり、公立小学校の採用倍率は2023年度に過去最低の2・3倍に落ち込んだ。教職調整額の10%以上への引き上げは、処遇を改善して優秀な人材を確保し、教育の質を高める狙いがある。

 案にはこのほか、業務の負担が大きい学級担任の手当を創設することなどが盛り込まれる。文科省は来年の通常国会での給特法改正を視野に入れている。