千葉科学大学(千葉県銚子市)の公立化を巡り、可否を検証する公立大学法人化検討委員会(委員長=矢尾板俊平・淑徳大学地域創生学部長)の第1回会合が14日、銚子市内で開かれた。同大を運営する学校法人加計学園(岡山市)が「公立化できないと、来年度から撤退することも考えないといけない」と発言。複数の委員が「我々の議論に圧力を加えるものだ」と反発する場面もあった。
公立化の要望が出された千葉科学大学(2023年撮影)
検討委は学識経験者、経済界代表ら10人でつくる。市と加計学園の事前協議が整わず、1月予定の開催がずれ込んでいた。
加計学園は14日の会合で、2022年度までに公立化した11大学の全てで同年度の入学者数が定員を上回った点を挙げ、「授業料が引き下げられ、大学のブランド力が上がり、学生が集まる」と強調。千葉科学大も公立化すれば、30年度には8億円超の黒字を確保できるとの試算を示した。
一方で、現状は定員割れが続き、大学の収支は22年度まで7年連続で赤字だと説明。公立化されなかった場合の「撤退」に踏み込んだ。その後、まずは学生の募集を停止し、在学生の卒業後に撤退するという意味だと述べた。
委員らは「第1回目の発言として、いかがなものか」「聞き違いかと思った」と不快感を表明。矢尾板委員長も「我々の議論を制約する」と遺憾の意を示した。
質疑応答では委員から、少子化が急速に進む中、公立化だけで学生が確保できるのか疑問視する意見が出た。「学生が集まらないなら、(定員減や学部再編などで)大学をスリムにしてから公立化を要望するのが筋では」との指摘もあった。ここ数年の定員割れが顕著な薬学部と看護学部について、「ここまで(入学定員充足率が)下がるのは見たことがない」とし、加計学園に分析を求めた。
校舎などの老朽化に伴う将来の修繕、建て替え費用の確保についても、懸念の声が出た。「大学の資産はどれくらいあるのか。その情報がないと議論にならない」として、加計学園に貸借対照表などの財務資料や、修繕費の将来試算を提出するよう求めた。
検討委は8月までに答申をとりまとめる。