高岡法科大(富山県高岡市)は15日、来年度以降の学生の募集を停止すると発表した。少子化の影響で入学者の定員割れが25年以上続き、今後も学生の確保が難しいと判断した。在籍する学生の卒業を待って閉学する。県内からは大学が一つ消え、法学部もなくなることになる。(原中翔輝)
学生の募集停止を発表する根田学長(中央)と川原理事長(左)(15日、高岡法科大で)
高岡法科大は、学校法人「高岡第一学園」が1989年に設置し、現在は法学部法学科のみを持つ。これまで4770人の卒業生を輩出しているが、99年度から入学者数が募集定員を割り込み続けている。
この日の記者会見で、学園の川原修平理事長は「入学者数が低迷し、18歳人口の減少や(生徒の)都会志向の中で、募集を続けるのは困難という結論になった。非常に残念で、苦渋の決断だ」と話した。
根田正樹学長によると、募集停止のきっかけは2023年度入試で募集定員と志願者数がいずれも100人になったこと。入試が成り立たなくなり、理事会側から入学者が増加に転じる「きざし」のあることが大学存続の条件とされたが、今年度入試では100人の募集定員に対して志願者は79人、入学者は37人にとどまった。
これを受けて、3月28日の理事会で募集停止を決定し、4月に入って学生と保護者に通知した。16日以降にあらためて説明会を開く。
学園では大学部門の収支も01年度から赤字に転落し、支出超過は1998年度以降の累積で38億円に上るという。川原理事長は開学時の見通しの甘さを問われると、「予想していなかった。大学が求心力を持てず反省している」と語った。
根田学長は地方大学の経営の難しさについて「都会でも地方でも大学の役割は変わらないが、大都会にあこがれる生徒の気持ちを地域に押しとどめることは難しい」と心情を吐露した。
大学の廃止は早ければ今年度の入学者が卒業する28年春となる。学園が設置する高岡第一高や幼稚園、保育園などは運営を継続するとしている。