文部科学省は、来年度に実施する教員採用1次試験(筆記)の実施日について、今年度よりも1か月以上早い5月11日を目安として全国の教育委員会に示す方針を固めた。今年度についても、従来の実施より1か月程度、前倒しした日程を示しているが、来年度はさらに早める。他の業種の採用スケジュールが早まるなか、優秀な人材を確保したい狙いがある。

文部科学省

 教員採用試験は都道府県・政令市の教委が実施している。7月に筆記、8月に2次試験の面接、9~10月に合格発表という流れが多い。

 一方、民間企業や一般公務員の採用活動が早まり、文科省は昨年5月、今年度の1次試験について、6月16日を実施日の目安として設定。各教委に実施を早めるよう依頼していた。

 文科省によると、都道府県など全68教委のうち、過半数の36教委が16日か、それより前に実施日を設定しているという。

 若者の教職離れを巡っては、2022年度に実施した教員採用試験の受験者数は公立高校が過去最少となり、小中学校は過去20年間で最も落ち込んだ。教員のなり手不足が深刻化するなか、文科省は実施日をさらに1か月以上早めることが必要だと判断した。

 文科省は、合格発表までのスケジュール全体も早期化するよう求める方針だ。例年6月に1次試験を実施する地方公務員(上級)や国家公務員(一般職)よりも早めることで、教員志望者の流出に歯止めをかけたいとする。

 文科省は来年度の実施日に教委が共通で使用できる試験問題を提供し、教委の負担軽減を図る。