学生や教員の女性比率が低迷する東京大学は20日、学内の女子学生や女性研究者らが実際にかけられた心ない言葉をポスター=写真=にして掲示を始めた。「言葉の逆風」と名付けたプロジェクトの一環で、女性への偏見や差別について問題提起し、女性が学びやすく、働きやすい環境につなげるのが狙いだ。
東大では今月1日から学内の食堂や掲示板に「なぜ東京大学には女性が少ないのか?」と問いかけるポスターを掲示。続編として20日から貼り出したポスターには「女子なのに東大?」「女子は研究に向いていない」など、昨秋に学生や研究者に行ったアンケートの結果から、自分が言われたり、他人が言われるのを聞いたりした言葉を集めた。
東大は、2026年度までに女性の割合を学生(大学院含む)は30%以上、教員では25%以上とする目標を掲げているが、現在は女子学生が24・6%、女性教員は17・6%にとどまる。東大では、こうした無意識の偏見や差別が、進学や就職において女性が東大を敬遠する要因の一つになっているとみている。
林香里副学長は「無意識のバイアス(偏見)をなくし、現状を変えていきたい」と話している。