英国医師会雑誌に研究成果を掲載 

 記憶に残りやすく集中できる学習はデジタル機器よりも「紙」で――。こんな研究成果を、富山大学の山田正明准教授(社会医学)らの研究グループがまとめた。英国の医師会雑誌「BMJ Open」のオンライン版に掲載された。

 研究はコロナ禍でオンライン学習が増えた2022年4~5月、富大医学部や薬学部の学生(939人)を対象に実施。344人がアンケートに答えた。

 その結果によると、「記憶」と「集中」の分野では、デジタル機器よりも「紙の方がよい」と答えた学生は、いずれも全体の7割を超えた。一方、「わかりやすさ」については、紙、デジタル機器、同等という回答が、いずれも3割ずつに分かれた。

 また、デジタル機器を用いた学習時間の長さを〈1〉2時間未満〈2〉2~4時間〈3〉4時間以上――の三つに分け、それぞれの学生に評価を聞いた。「わかりやすさ」では、学習時間が長ければ長いほど「デジタル機器の方がよい」と答える学生が増え、〈3〉では44・3%に達した。ところが「記憶」と「集中」では、〈1〉〈2〉〈3〉のどの区分でも「デジタル機器の方がよい」と答えた学生は10%以下にとどまった。

 山田准教授によると、「わかりやすさ」でデジタル機器が優位になる理由は、検索が短時間で済むことや音声で語学が学べることなどが挙げられるという。ただ、深い学びにつながる「記憶」や「集中」という分野では、紙による学習が望ましいとした。

 「目の疲労」については8割の学生が「デジタルの方が悪い」と回答しており、山田准教授は「小中学校でもデジタル機器の活用が進められているが、使用時間を限定し、紙の学習を中心にするべきだ」と話している。