文部科学省は、全国の私立大学を対象にふるさと納税制度を利用した外部資金の獲得状況について、近く実態調査に乗り出す。18歳人口の減少で私大の経営は厳しさを増しており、調査で把握した先行事例を周知して導入を促す方針だ。
ふるさと納税制度を利用した大学への寄付は、使い道として特定の大学への支援を選ぶと、自治体から大学側に補助金として交付される仕組み。自治体と大学の寄付金の配分や返礼品の有無など運用は様々だ。
東京都新宿区のふるさと納税に支援の項目が設けられている早稲田大学は返礼品がなく、寄付金の最大7割が大学に交付される。2022年は約8400万円に上った。北海道江別市の酪農学園大学は大学内で作られたアイスクリームやチーズを返礼品とし、最大3割が補助金として交付される。
ふるさと納税制度を利用すると、大学を運営する学校法人に個人で直接寄付するよりも控除幅が大きく、手続きも簡単になる。また、自治体にとっても、卒業生に寄付が広がるといったメリットがあるという。
大学進学者数のピークは26年となる見込みで、以降は減少局面に入る。私大は収入の大半を入学金や授業料などに頼っており、少子化は経営に直結する。
文科省は実態調査でふるさと納税制度の活用有無や運用方法などを尋ね、支援策を探る。担当者は「日本には寄付文化があまり根付いていない。寄付のハードルを下げ、私大の経営基盤強化につなげたい」と話している。