公立小中学校の学校図書館で、子どもの読書活動を支える「学校司書」の4割弱が複数校を兼務していることが、文部科学省の調査でわかった。文科省は1校に1人の配置を目指すが、自治体の財政難などで進んでいない。
調査は、全国学校図書館協議会などの要請を受け、初めて実施された。昨年11~12月、全国の自治体に昨年5月時点の学校司書の配置や勤務状況を聞いた。
調査によると、全国の公立小中学校(2万7762校)に配置されている学校司書は1万6100人で、37・4%にあたる6025人が複数校を兼務していた。2校を兼務している人は全体の20・6%(3314人)、3校は8・5%(1370人)だった。6校以上の兼務者は1・8%(293人)おり、うち45人は10校以上を担当していた。
調査では、「1週間あたりの勤務時間」は、20時間未満の人が約3割だった。1日の勤務時間を7時間45分とすると、週3日に満たないことになる。学校司書は、教員が授業で使う資料の準備や、子どもの調べ学習の支援なども行っており、勤務時間が短いと、こうした活動も不十分になる。
また、学校司書の雇用形態が不安定な状況も明らかになった。全体の96・6%が年度ごとに雇用を更新する非正規雇用の「会計年度任用職員」だった。司書からは、賃金の低さや雇い止めへの不安を訴える声が上がっている。
帝京大の鎌田和宏教授(教育方法学)は「複数校の兼務では、限られた仕事しかできず、図書館を活用した学習活動の質にも影響が出る。自治体は学校司書の配置や待遇を充実させる必要がある」と指摘している。