高校の男女共学化が進んでいる。少子化による受験生の減少やジェンダー平等意識の高まりなどが背景にあり、全国の男女別学の高校はピーク時の約50年前の3分の1に減少し、県内に別学の高校がない地域も。一方で、別学の存続を求めて地域を巻き込んだ議論も起きている。(沢井友宏)
■女子の制服披露
8日、ラグビーやサッカーの強豪校としても知られる男子校・私立東福岡高(福岡市博多区)で開催された中学生向けの学校説明会。同高は昨年、学園創立80周年となる2025年度から共学にすると発表した。この日は共学に向けた初の説明会で、訪れた生徒の約7割が女子生徒だった。
説明会では、女子生徒の制服が披露された。集まった女子生徒らは着用したモデルを見て、「かわいい」「着て通いたい」などと声を上げていた。
共学化の理由について、徳野慎一郎副理事長は「コロナ禍で価値観が変化する中で、人種や性別などを超えて様々な人と協働できる人材を育てようと共学化を決断した」と説明。来春に向け、トイレの改修や更衣室の新設、校則の見直しも進める。
福岡県内では現在、男子高が同高を含め2校。男子高のもう1校の私立中村学園三陽高も今月、系列女子高の共学化に合わせ、閉校が決まり、同県から男子高がなくなることになった。
■定員割れが続き
文部科学省の学校基本調査によると、男女別学の高校は1975年には1180校(男子高435校、女子高745校)だったが、23年度は368校(男子高99校、女子高269校)と3分の1に減少。少子化による学校の統廃合や共学化が要因とみられる。
九州・山口・沖縄では、大分、沖縄両県で別学の高校はなくなり、共学校のみとなっている。
鹿児島では、男子高だった鹿児島市立鹿児島商高が今年度から、女子生徒の受け入れを始めた。少子化の影響で定員割れが続き、男子高だった23年度の入学者は定員の半分だったが、女子生徒の受け入れとともに学科再編を行った今年度は100%に達した。
山口では、県内唯一の別学の中村女子高が25年度から一部の学科で男子を受け入れる。
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