北海道で近年、夏場の平均気温が平年より高い状況が続いている。公立学校ではエアコンが普及しておらず、各学校は熱中症対策として、児童・生徒に携帯扇風機を持参させたり、工事が不要なスポットクーラーを取り付けたりしている。夏休みの期間を延ばす自治体も出ている。(北海道支社 鍜冶明日翔)

暑さ対策として、机に携帯扇風機を置いて勉強する中学生(4日、札幌市立中央中で)=早坂洋祐撮影

 夏の日差しが降り注いだ今月4日の札幌市。最高気温は28・9度となり、平年を4・8度上回った。市立中央中学校の1年生のクラスでは生徒32人のうち16人が携帯扇風機を机に置いていた。校内で充電しないことを条件に持ち込みが認められており、男子生徒は「登校前に充電し、電源が切れないよう調節しながら使っている」と話した。

 市教育委員会によると、教室に大型エアコンを備えた市立の小中学校はゼロ。市は今年度当初予算に64億円を計上し、小中高など約300校のうち111校で2026年夏の稼働に向けて工事を行う。全校に行き渡るのは28年夏の予定だ。

 大半の学校では当面の対策として、窓枠に設置する簡易型エアコンや、スポットクーラーを導入した。

 ただ、いずれも教室全体を冷やす効果はない。市立
幌南(こうなん)
小学校では休み時間に児童が簡易型エアコンの周りに集まってきた。6年生の男子児童は「エアコンの近くの席は取り合いになる。くじ引きで決めている」と苦笑する。

 北海道は本来は冷涼な気候だ。文部科学省の22年9月時点の調査では、小中学校の普通教室でのエアコン設置率は全国平均95・7%に対し、16・5%にとどまる。

 だが、近年は様相が異なる。気象庁の統計では、道内各地の昨年7~8月の平均気温は平年より3~4度高かった。昨年8月23日には札幌市中央区で観測史上最高の36・3度を記録した。

 道内の公立学校は冬休みが長い一方、夏休みは8月20日頃に終わるのが一般的だが、昨年は授業再開直後の8月下旬、熱中症リスクがあるとして臨時休校が相次いだ。道教委は規則を改正し、夏休みと冬休みの総日数を「50日以内」から「56日以内」に変更。帯広市、釧路市、小樽市などは今年度、夏休みを延長する。