文部科学省は、大規模災害の被災地に、全国から教職員チームを派遣する仕組みを創設する方針を決めた。児童生徒の安否確認や避難中の学習支援などにあたる。今年1月の能登半島地震の教訓を踏まえ、被災地での学びを継続することが重要だと判断した。

能登離れ民宿で生活しながら3か月、石川県総体で勝ち進み「支えてくれた人たち」に感謝

文部科学省

 新たな仕組みは、医師や看護師らを派遣する「DMAT(災害派遣医療チーム)」を参考に設ける。名称は、災害時教育支援チーム「D―EST(Disaster Education Support Team=ディーエスト、仮称)」とする。

 D―ESTでは、まず文科省の職員が被災した市町村に入ってニーズを把握し、学校支援チームのある自治体に派遣を要請する。現在、宮城や三重、兵庫、岡山、熊本の5県が独自に学校を支援するチームを設けている。文科省は活動例を示し、ほかの都道府県でも設置するよう促す。来年度予算案の概算要求に関連経費を盛り込む方針だ。

 学校支援チームは、教職員やスクールカウンセラーらで構成する。災害時に学校現場に入り、被災した児童生徒への学習支援や心のケアを行う。学校早期再開に向け、校舎の片付けや通学路の点検なども担う。

 能登半島地震では、兵庫県や熊本県などの学校支援チームが被災地入りした。災害の発生直後は、自治体は災害復旧や生活支援への対応に追われ、子どもの学びの確保が遅れることが多いとの指摘がある。災害時の対応の研修を積んだ教職員が現地入りすることで、迅速な支援につなげる考えだ。