文部科学省が不登校の高校生の学習の機会を確保するため、オンライン授業のモデル開発に乗り出す。自宅で授業を受けられるようにすることで学習内容の理解を深めてもらい、登校再開につなげる狙いがある。夏休みなど長期間の休み明けは不登校になりやすい傾向があるとも言われており、年度末までに開発を急ぎたい考えだ。
文科省は今年度、オンライン授業での指導方法や生徒の評価方法、質問への対応など、課題を洗い出す調査研究事業を全国3か所で実施する。これに先立ち、今年4月には、不登校となった高校生がオンライン授業を受ければ、単位の取得を認めるよう学校教育法施行規則を改正した。オンライン授業にも活用できる学習用端末も、今年度中に1人1台配備される予定だ。
オンライン授業を進める背景には、不登校の高校生の増加がある。2022年度は6万575人に上り、20年度に比べて約4割増加した。全生徒に占める割合も1・39%から2・04%に増え、中途退学に至るケースもあった。不登校の理由はいじめなど様々だが、学習の理解が追いつかないことも指摘されていた。
特に、長期の休み明けは人間関係や勉強への不安を感じやすくなり、不登校になりやすいとされる。
オンライン授業のノウハウがない学校も多いことから、モデルを示して導入を後押ししたい考えだ。自宅で学習の意欲をどのように持続させるかや、インターネット環境がない家庭での対応なども課題となり、実例を検証し、全国の自治体や学校に周知する方針だ。