大手予備校の河合塾が、大学入試の総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(旧推薦入試)で、出願書類が生成AIで作成された可能性を判定するシステムを開発した。国公私立の約30大学が、今秋の選考から利用する予定だという。
出願書類で生成AIが使われた可能性を検知するシステムのデモ画面(河合塾提供)
総合型と学校推薦型の選抜では、志望理由書や学修計画書などの出願書類の審査に重きが置かれ、面接や高校の成績なども加味して合否が決まる。文部科学省によると、2023年度に全国の大学に入学した約62万人のうち、総合型・学校推薦型での合格者は計約31万人。
河合塾によると、システムには米グーグルの生成AIを利用。文章のクセから、出願書類に生成AIが使われた可能性を判定する。生成AIが出力した文章は70%の確率で検出できる一方、人間の手による文章を「AIによって書かれた」と誤判定する確率も5%あるという。
判定システムを利用予定の西日本にある大学の入試担当者は「合否判定には使わない。出願書類の疑わしいところを事前に把握し、面接で深掘りするといった使い方を検討している」と話す。
出願書類への生成AI利用を巡っては、昨年春以降、一部の大学が「受験生の思いや考えに基づいた文章を求める」(青山学院大)として使わないよう呼びかけたり、「生成AIの出力には虚構や偏った主張が含まれる危険性がある」(横浜国立大)と注意喚起したりしている。