大学4年生らの3人に1人が、就職活動で生成AI(人工知能)を利用した経験を持つことが、就職情報会社「マイナビ」の調査でわかった。企業に提出するエントリーシート(ES)の添削や、面接での質問予想などで活用する例が目立った。同社の長谷川洋介研究員は「生成AIが集める情報の信頼性などに注意しながら、あくまでも補助的なツールとして用いてほしい」と話している。

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 調査は5月に実施し、来年春に卒業予定の大学生や院生の4224人が回答した。チャットGPTなどの生成AIを「使ったことがある」と答えた学生は62・9%で、「就活で利用した」のは全体の37・2%だった。「就活で利用した」割合は前年の調査(18・4%)から倍増した。

大学生の就職活動が解禁され、にぎわいを見せるマイナビの就活EXPO(2023年3月1日、東京都江東区で)大学生の就職活動が解禁され、にぎわいを見せるマイナビの就活EXPO(2023年3月1日、東京都江東区で)

 利用方法を複数回答で尋ねると、ESの誤字脱字チェックや添削などの「ESの
推敲(すいこう)
」が56・6%で最も多かった。次いで「ESの作成」が41・7%で、「自己分析」28・8%、業界の情報をまとめるなどの「業界研究」25・2%、想定問答などを尋ねる「面接対策」17・8%と続いた。

 対話型の生成AIから精度の高い答えを引き出すためには、具体的な指示や質問(プロンプト)を入力する必要がある。実例を尋ねたところ、生成AIに対し、「あなたは○○社の面接官です」と指示してから質問をしたり、ESの内容を入力して「100点満点で採点して」と点数化を求めたりする使い方が見られた。

 最新技術に詳しいキャリアコンサルタントの岡崎浩二さんは「企業側も就活で生成AIが利用されるのは織り込み済みだ。人生の浮き沈みを折れ線グラフで記入させるなど、生成AIが対応しにくい内容をESに課したり、適性検査やインターンシップ(就業体験)を重視したりしている」と指摘している。