「夏が来れば 思い出す」の歌い出しで有名な唱歌「夏の思い出」にも歌われている群馬県の湿原、
尾瀬(おぜ)
。その豊かな自然環境を学びの場にしているのが、県立尾瀬高校(沼田市)の生徒たちです。全国から生徒が集まるという「自然環境科」の魅力を探ります!

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四季折々の変化を体感しながら

 「手のひらサイズのヤマネがくりくりの目でかわいくて…。国の天然記念物で尾瀬にも生息しています」

尾瀬ヶ原での自然観察会の様子

 9月中旬、沼田市の公共施設で開かれた交流イベント「尾瀬高校フェア」を訪れると、2年の女子生徒(17)が、尾瀬で調べた動物たちの特徴を丁寧に説明していました。

 会場の入り口には、ヤマネやオコジョなどの“ゆるかわ”な動物や、ツキノワグマやイノシシ、カモシカなどの
剥製(はくせい)
がずらり。いずれも普段は校内に展示されているものだそうです。

 標高2000m級の高山地帯にある尾瀬には、広大な湿原や湖があり、900種以上の植物や多様な動物が生息しています。自然環境科の生徒はほぼ毎月、地元NPOのスタッフや研究者らと尾瀬や周辺の山々に足を運び、四季折々の変化を体感しながら実習をします。

研究成果は学会でも発表

 実習の一環で1~3年生全員が取り組む「自然観察会」では、スケッチや観察、調査をします。春と夏にはミズバショウやニッコウキスゲ、食虫植物のコモウセンゴケなどの植物、冬には湿地を歩く動物の足跡も間近で見ることができるそう。実際に見て、触れて、観察力を磨いているのです。

 観察会に参加した1年の男子生徒(15)は「発見がたくさんあって楽しい。気付いたことは何でもメモし、図鑑でも調べます」と話します。

 実習でまとめたリポートや研究の成果は、学会でも発表します。周辺の植物を食い荒らす夜行性のシカの生態を調査したり、温度の分布がわかるサーモグラフィーカメラを搭載したドローンを使って、空からシカの数を調べたりと、本格的な研究も進めています。

 自然が教材となる「本物」の環境で学ぶからこそ、意欲も高まり、研究もより高度なものになるのでしょう。きっと将来、誰よりも自然の大切さを伝えられる人材に育つに違いありません。

(全文は読売中高生新聞10月4日号掲載、新聞購読は
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学校プロフィル

【生徒数】117人

【歴史】1962年に県立沼田高校の分校として開校。96年に現在の校名に

【卒業後の進路】3割が4年制大学や短大などに進学。卒業生には、
鷹匠(たかじょう)
や昆虫の新種を発見した研究者などもいる

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