文部科学省は来年度、外国人の通学者が増えている夜間中学での日本語指導のガイドライン(指針)を新たに策定する方針を固めた。効果的な日本語指導の方法を指針としてまとめ、外国人の生徒の日本語教育改善につなげたい考えだ。

夜間中学での日本語指導ガイドライン(指針)のイメージ

 義務教育を修了しなかった人らが通う夜間中学は、夜の時間帯に授業を行う中学校で、教員免許を持つ先生の指導する課程を修了すれば中学校の卒業資格が得られる。2024年4月時点で24都道府県に53校あり、政府は27年度までに全ての都道府県、政令指定都市に設置する目標を掲げている。

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 生徒は、不登校などの事情で十分な教育が受けられなかった人らのほか、母国で義務教育を受けていない外国人らの割合が7割近くを占めている。夜間中学に通う外国人は、日本語の習得を希望する人が多く、この支援をどうするかが、課題となっている。中学校の教員免許には外国人に教える「日本語」はない。外国人向けの日本語教育は、国語だけでなく社会や数学などの教員も担当しているのが実情という。

 文科省は指針の策定に向け、日本語指導のカリキュラムや教材、学級編成のあり方などについて、夜間中学の実態調査を行う方針だ。地域の日本語教室と連携し、初期の日本語教育を受けた後に夜間中学で外国人を受け入れる取り組みが行われている地域もあり、こうした事例も調査する。調査に基づいて外国人に対する効果的な日本語の指導方法の指針を策定し、全国の夜間中学に周知する。

 日本国内で生活する外国人は13年の207万人から23年には341万人となり、10年間で約1・6倍となっている。