小中高校の学校図書館で中心的な役割を担う教員「司書教諭」の8割近くは、図書館の業務を行う時間が確保されていないことが、全国学校図書館協議会の調査でわかった。多くは学級担任などの合間をぬっての活動を余儀なくされており、図書館の充実には、司書教諭が活動しやすい体制の整備が求められる。
学校図書館に関する研修に取り組んでいない学校の割合のグラフ
調査は今年6月に実施され、全国の国公私立小中高校計581校から回答を得た。
学校が、図書館の業務を行う時間を司書教諭に確保しているか尋ねたところ、「確保していない」が小学校75・5%、中学校79・7%、高校78・8%に上った。司書教諭の多くは学級担任などとの兼任で、普段の学級・教科指導で忙しくしており、活動時間が確保されないと、資料の整理や読書指導などに割ける時間が限られる。
また、学校図書館の活用に関する研修に「学校としては特に取り組んでいない」割合は小学校50・0%、中学校55・5%、高校54・0%に上り、半数以上が研修を行っていなかった。小中高ともに10年前に比べ、6~13ポイントも増えた。
文部科学省の「学校図書館ガイドライン」では、司書教諭に、図書館を活用した授業を実践し、研修などを通じて他の教員に助言する役割を求めているが、司書教諭が活動する体制の整備は十分とはいえない。
同協議会の磯部延之調査部長は「探究学習などで情報活用能力を育む学校図書館の重要性は増している。管理職は図書館の活用と機能向上への意識を強く持ち、司書教諭の活動や全教員に向けた研修が十分に行えるよう取り組むべきだ」と指摘している。
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司書教諭
=学校図書館の専門的職務を担う教員。図書館の管理・運営などの講習を受けた教員に教育委員会や校長が発令する。学校図書館法により12学級以上の学校は配置が義務付けられている。