横浜市立大学内の学生食堂で、コンビニ大手・ローソンから無償提供を受けたフライドチキンの販売が行われている。チキンは賞味期限が近く在庫が余剰ぎみになっていたもので、同社が物価高の影響を受ける学生食堂などを支援しようと提供。大学では学生が主体となって考えた販促活動も行われ、学びの機会にも活用されている。
制作したポスターなどをアピールする国際商学部の3年生たち(13日、横浜市立大金沢八景キャンパスで)
同大金沢八景キャンパスと福浦キャンパスの食堂(ともに横浜市)で販売されているのは、フライドチキン「ソースinLチキ(ギョーザ味)」。ローソンが昨年12月、学生食堂や学校給食を運営する全国の10団体に計1万2000個を無償提供することを決め、希望者を募集した。神奈川県内では唯一、同大生協が当選し、1200個の提供を受けた。
同大の食堂では人件費や調理費などを考慮し、市販価格の3分の1以下の1個66円(税込み)で販売。単独では販売しておらず、既存のメニューを頼んだ人のみ購入できる仕組みだ。
販売にあたっては、国際商学部で消費者行動やマーケティングを学ぶ3年生の15人が春休みから約3か月かけ、プロモーションを考案。食堂を利用する学生30人にインタビューを行い、学食やLチキに対する印象を調査して販促戦略を立てた。ローソンや生協から講評を受けながら、キャッチコピーやデザインを練り、ポスターやポップ、動画などを制作。SNSを駆使した発信にも取り組んだ。
学生たちは、食品ロスの削減やSDGsを前面に出さず、購買意欲を駆り立てる見せ方にこだわったといい、指導した柴田典子教授(50)は、「何を伝えるべきかを考え、販促物を形にできたことは大きな学び。ローソンをはじめ学生以外の方々にも関わっていただき、社会性も身についた」と振り返る。
金沢八景キャンパスでは販売初日の13日、ピークのランチタイムが始まってまもなく、正午過ぎには当日分が完売した。Lチキを買った大学1年(18)は「ポスターを見ておいしそうだと思った。Lチキが安く食べられてうれしい」と語った。販促に携わった学生(21)は「想定以上の反響。それぞれが得意な分野で熱意をもって関わったことが形になって良かった」と笑顔を見せた。
同大学の食堂での提供は24日までの予定だという。