学校で水泳の授業が行われる季節になった。最近は肌の露出を抑え、体のラインが出にくい男女共用のスクール水着を採用する学校が増えている。肌や体形を見られることへの抵抗感を和らげ、前向きに授業に参加してもらう狙いがある。(矢子奈穂、岩島佑希)

日焼けが嫌

 「小学校の水着は、肩がむき出しで嫌だった。苦手な水泳も、これなら他人の目を気にせず頑張れそう」。東京都豊島区の西池袋中1年の生徒(13)は来週から始まる水泳の授業を前に、笑顔で話した。

男女共用のスクール水着が並ぶ売り場(千葉県松戸市の学生服専門店「たむら」で)

 同校が今年度から取り入れたのが「ジェンダーレス水着」。男女とも同じデザインで、長袖の上着とハーフパンツは、少しゆったりと作られている。サイズは11種類あり、多くは胸の部分にパッドを入れられる。

 従来の男女別の水着も選択できるが、約150人いる1年生のほとんどは、この水着を選んだという。その一人(12)は「上半身裸にならずに済むことと、日焼けをしにくいことが良い点」と語る。

 同校の八尋崇校長(52)は「男女共用水着は多様な性に配慮でき、体形を気にしたり、アトピー性皮膚炎に悩んだりする生徒も、水泳の授業に参加しやすくなる利点がある」と説明する。

多様性にも配慮

 同校が採用した水着のメーカー「フットマーク」(東京)によると、販売を始めたのは2022年度。23年度は全国の小中高校の約300校で採用され、今年度は400校以上に増える見込みという。

 開発に乗り出すきっかけは、「体を露出したくない」「性の多様性に配慮した水着がほしい」という声が寄せられたことだった。水中で動きやすいよう、水が抜ける穴をパンツの腰の部分に設けたり、上下の水着をホックやひもで留め、上着がめくれないようにしたりして商品化にこぎつけた。

 流通大手「イオン」(千葉)のプライベートブランド「トップバリュ」や、水泳用品メーカー「トップエース」(埼玉)も昨年、子ども向けに、長袖とハーフパンツの男女共用水着の販売を始めている。

 大手学生服メーカー「菅公学生服」(岡山)が昨年2月、全国の中高生1400人に行った調査では、水泳の授業がある生徒のうち、51・8%が「あまり好きではない」「とても嫌い」と答えた。中学生に限れば、62・6%に上った。

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