公立小中高校などで日本語指導を必要とする児童生徒が2023年度は6万9123人で、過去最多を更新したことが8日、文部科学省の調査でわかった。前回の21年度調査よりも1万816人増え、約10年で倍増した。人口減少による人手不足で海外人材の受け入れが拡大し、家族で日本に移り住む外国人が増えていることが背景にある。
文部科学省
調査は全国の1788自治体が対象で、昨年5月1日時点の状況を尋ねた。日本語で十分に会話できず、日本語の指導などが必要だと学校が判断した児童生徒は、外国籍が5万7718人(前回比1万99人増)、日本国籍が1万1405人(同717人増)。日本国籍でも、海外生活が長く、日本語を十分に話せない子どももいる。
日本語指導が必要な中学生の進学率は90・3%で、全中学生(99%)と9ポイント近く差があった。中退した高校生の割合は8・5%(高校生全体は1・1%)と高かった。
メーカーの工場で働く日系ブラジル人が多い群馬県大泉町では近年、フィリピンやネパール、ベトナムなどから来た住民が増えている。町教育委員会によると、外国人の小中学生は計649人(今年5月1日時点)で全体の2割を占める。学校では自動翻訳機を使ったり、通訳を雇ったりするが、十分に対応できていないという。
文科省は日本語指導を必要とする児童生徒を支援する人材配置を財政支援しているが、町教委の岡田健児教育指導課長は「国や県には、さらなる人材配置や予算の拡充を検討してほしい」と要望している。
文部科学省は8日、昨年5月時点で国内に在住している外国籍の子ども8601人が就学していない「不就学」の可能性があると発表した。22年度の前回調査より418人増加した。
住民基本台帳に登録されている小中学生に相当する外国籍の子どもは昨年5月時点で計15万695人。このうち、学校に通っていないと確認されたのは970人だった。このほか、連絡がつかなかった7199人と、住民基本台帳への登録はあるものの教育委員会が把握していなかった432人も就学していない可能性がある。
外国籍の子どもに就学義務はないが、保護者が希望する場合、公立小中学校は日本人と同様に無償で受け入れている。