阿部文部科学相は8日、世界トップレベルの研究力を目指す「国際卓越研究大」の第1号に東北大を正式認定した。東北大は今年度以降、政府が設けた10兆円規模の大学ファンドから最長25年間にわたって助成を受ける。助成額はファンド運用益や大学改革の進展などに応じて決まり、初年度は百数十億円が配分される。

東北大学

 卓越大制度は、低迷する日本の研究力を復活させる切り札として、主に岸田前政権などが推進してきた。

 文部科学省は2022年12月、卓越大の公募を始め、東北大のほか、東京大や京都大など計10校が申請。文科省の有識者会議が、研究論文の実績やガバナンス(組織統治)改革の内容などを審査し、昨年9月に東北大を候補として選んだ。

 有識者会議はその後も、研究資金の受け入れ額を10倍以上にするなど、東北大が示した研究体制の強化計画案を審査。今年6月に「認定水準を満たす」とした最終結果を公表した。8日までに政府の総合科学技術・イノベーション会議への意見聴取を終え、文科相認定に至った。

 阿部文科相は同日の記者会見で「若手研究者が活躍できる研究環境を実現してほしい」と述べた。今年度中に始まる2回目の公募には、東京大や東京科学大などが申請する見通しだ。

 ◆
大学ファンド
=政府が出資した10兆円を原資に、科学技術振興機構が金融機関などに運用を委託するファンド。運用益をもとに国際卓越研究大を助成する。