一般財団法人「公立学校共済組合友の会」(東京)が、教員を目指す大学生を経済的に支援する「未来の先生応援プロジェクト」を始める。友の会は、公立小中高校を退職した教職員らでつくる組織で、教員不足が続く中、「先生の卵」のサポートに力を入れる。
支援策は、給付型奨学金の支給と女子寮の入居条件の緩和の2点だ。
奨学金の支給は、公立小中高校の教員を志望する学生に対し、4年間で総額48万円を給付する。対象者は、全国の各都道府県教育委員会から3人ずつ推薦してもらい、各学年141人となる。2026年度の1年生から給付を始め、29年度には1~4年生の計564人に増やす予定だ。
奨学金は、主に友の会の会費(月330円)で賄うほか、企業からの協賛金や個人からの寄付などを募ることを計画している。
また、友の会が運営する東京都内の女子学生寮「ベルフィーユ武蔵野」(200室)の入居条件について、今年4月から教員を目指す女子学生に対象を広げる。これまでは、共済組合に加入している教職員の子女だけが対象だった。
こうした事業を始める背景には、教員のなり手不足がある。24年度採用の試験は、採用倍率が小中高校全てで過去最低だった。特に小学校は2・2倍で、5年連続で最低を更新した。大量退職などで公立学校の採用者数が増加する中、教員志望者を増やすことは喫緊の課題だ。
学校現場の教員不足は深刻で、一部の小学校では学級担任を置けず、中高では教員が担当教科以外の授業を持つなどの影響も出ている。文部科学省の調査によると、21年4月の始業日時点で、公立小中高校など1897校で2558人の欠員が生じていた。今年度も、都道府県や政令市など68教委のうち3割が、前年度から教員不足の状況が「悪化した」と答えた。
友の会は、公立の小中高校を退職した教職員ら約200万人に対し、福利厚生や親睦を図る事業などを実施してきた。新たに教員を目指す若者への支援を始めることについて、滝田武彦理事長は「疲弊する学校現場の環境改善に向け、教員OB・OGの力を結集して将来を担う若い人材を支えていきたい」と話している。