岐阜県各務原市鵜沼羽場町に小中高一貫の市立かかみがはら支援学校が4月に開校する。市教育委員会によると、小学部から高等部までが同じ敷地にそろう特別支援学校は全国初といい、環境の変化が苦手な児童生徒の負担解消や小学部から高等部まで切れ目のない指導が期待される。
要望受け拡充
4月に開校する市立かかみがはら支援学校(岐阜県各務原市で)
現在の市立各務原特別支援学校は知的障害のある高等部の生徒のみが対象で、市内在住の小学部と中学部の児童生徒と高等部で肢体不自由や病弱の生徒は、関市や岐阜市、羽島市など市外に通学している。保護者からは、それぞれの障害に対応できる特別支援学校を各務原市内に設置するよう要望が出ていた。
市は2020年、特別支援学校の整備を進めるため、有識者らで構成する専門の委員会を設置。保護者らに行ったアンケートで、将来的な自立に向けて自力で登校できる場所に学校を望むといった声が寄せられた。
委員会やアンケートの意見を参考に21年に基本計画を策定し、名鉄各務原線・羽場駅から約600メートルの農地に場所を決めた。
「喫茶店」接客学ぶ
校舎の建設は23年7月に着工し、24年12月に完成した。現在は駐車場やグラウンドを整備している。事業費約80億円。市外に通う小学部と中学部の児童生徒と各務原特別支援学校高等部の生徒が入り、小学部70人、中学部30人、高等部70人となる見込みだ。
児童生徒が交流できる吹き抜けの図書スペース「本の森」や看護師が常駐する医療的ケア室、屋内温水プールなどを配する。進路相談のほか、入学前や卒業後も悩みを受け付ける地域支援センターを設置し、専門の相談員が常駐する。通学のため、スロープ付きの大型バス5台が運行する。
校舎内には菓子作りができる食品加工室もある。卒業後の就労に生かすため、地域住民らを迎えて接客を実践できる「ひばり喫茶」を定期的に営業し、作った菓子も販売する。
完成記念式典が1月31日に現地で開かれ、各務原特別支援学校の生徒15人がハンドベルを演奏した。高等部2年の生徒(17)は「絵を描くのが好きなので、美術室が広くて楽しみ。運動会では小・中学部の新しい仲間と協力したい」と喜んでいた。
浅野健司市長は12日の定例記者会見で、喫茶店のほかに、市民も利用できる屋外の遊具などがあるとして、「多くの方の目に触れ、地域の方に育ててもらえる学校を目指したい」と話した。

