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大学入試の出願書類で生成AI?、河合塾が判定システム開発…今秋から30大学が利用予定

2024-08-27T15:38:02+09:00

 大手予備校の河合塾が、大学入試の総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(旧推薦入試)で、出願書類が生成AIで作成された可能性を判定するシステムを開発した。国公私立の約30大学が、今秋の選考から利用する予定だという。 NTT、AI新会社で企業のデジタル化支援…業界横断の「連鎖型AI」で省エネ・省人化 出願書類で生成AIが使われた可能性を検知するシステムのデモ画面(河合塾提供) 総合型と学校推薦型の選抜では、志望理由書や学修計画書などの出願書類の審査に重きが置かれ、面接や高校の成績なども加味して合否が決まる。文部科学省によると、2023年度に全国の大学に入学した約62万人のうち、総合型・学校推薦型での合格者は計約31万人。  河合塾によると、システムには米グーグルの生成AIを利用。文章のクセから、出願書類に生成AIが使われた可能性を判定する。生成AIが出力した文章は70%の確率で検出できる一方、人間の手による文章を「AIによって書かれた」と誤判定する確率も5%あるという。 判定システムを利用予定の西日本にある大学の入試担当者は「合否判定には使わない。出願書類の疑わしいところを事前に把握し、面接で深掘りするといった使い方を検討している」と話す。 出願書類への生成AI利用を巡っては、昨年春以降、一部の大学が「受験生の思いや考えに基づいた文章を求める」(青山学院大)として使わないよう呼びかけたり、「生成AIの出力には虚構や偏った主張が含まれる危険性がある」(横浜国立大)と注意喚起したりしている。 あわせて読みたい  東京大学の授業料値上げ検討、11月までに方針決定…「学内プロセスを丁寧に踏んでいる段階」 共通テスト「韓国語」以外の29科目は「適切」評価…「英語」などには「文章量が多い」と注文も 東大授業料2割値上げ検討、学生らが反対集会…教員3人も登壇し懸念を表明 東京大学、授業料の値上げ検討…上限まで引き上げなら10万円増

大学入試の出願書類で生成AI?、河合塾が判定システム開発…今秋から30大学が利用予定2024-08-27T15:38:02+09:00

放射線教育の副読本を改訂、新たに処理水の海洋放出盛り込む…文科省

2024-08-27T15:38:00+09:00

 文部科学省は9日、小中高校などで使われている放射線教育の副読本の改訂版を発表した。東京電力福島第一原子力発電所に貯蔵されている処理水の海洋放出を新たに盛り込んだ。文部科学省 副読本は小学生向けと中高生向けの2種類。放射線の人体への影響など基礎知識や原発事故と東日本大震災からの復興についても説明していて、理科や総合学習で使われている。  今回の改訂では「廃炉に向けた課題」の項目で、原発事故で発生した処理水の処分方法を新たに取り上げた。2023年8月に始まった海洋放出について触れ、国際的な安全基準を満たしていることや人・環境への影響が無視できるほどのものだと解説している。

放射線教育の副読本を改訂、新たに処理水の海洋放出盛り込む…文科省2024-08-27T15:38:00+09:00

ガザ北部の学校に空爆、女性や子どもら100人以上死亡…イスラエル軍から「事前警告なし」

2024-08-27T15:37:58+09:00

 【エルサレム=福島利之】イスラエル軍は10日、パレスチナ自治区ガザ北部のガザ市の学校を空爆し、ガザの当局によると、学校に避難していた女性や子どもを含む100人以上が死亡し、数十人が負傷した。イスラエル軍は、イスラム主義組織ハマスの司令部として使われていたと主張しているが、ハマス側は否定している。 ハマス、エジプト境界のイスラエル軍駐留は「受け入れられない」と拒否…ガザ停戦交渉 空爆を受けたガザ北部の学校(10日)=AP 中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラによると、10日早朝、避難民らで密集する学校に3発の爆弾が撃ち込まれた。イスラエル軍は「攻撃の前に空からの偵察など民間人を傷つけるリスクを軽減する措置を取った」と発表したが、ハマス側によるとイスラエル軍からの事前の警告はなかったという。ハマスは「避難民に対する極悪な虐殺だ」と非難する声明を出した。  イスラエル軍は9日、南部ハンユニスで地上作戦を含めた大規模な攻撃を開始した。ハマスの拠点とする30か所以上の標的を空爆し、ロイター通信によると、少なくとも35人が死亡した。 ガザでの戦闘の停戦を巡る協議が仲介にあたる米国とエジプト、カタールの後押しで15日に開催される予定だ。一連の攻撃を受け、ハマスが態度を硬化させる可能性がある。 国際ニュースを英語で読む あわせて読みたい  ウクライナがロシア西部に最大規模の越境攻撃、外交交渉を有利に進める狙い…ガス関連施設を制圧 遺体4000体以上を火葬場や病院から違法に入手、中国企業が骨を移植用として販売…18トン押収 タイで日本人男性の切断遺体事件、日本人2人を容疑で逮捕…特殊詐欺グループのメンバーか イスラエル軍がガザ南部ハンユニスで大規模攻撃開始、35人以上が死亡…数千人の住民避難か

ガザ北部の学校に空爆、女性や子どもら100人以上死亡…イスラエル軍から「事前警告なし」2024-08-27T15:37:58+09:00

米軍に封鎖された大学、職員の抗議届かず…ヘリ墜落から20年たっても変わらない地位協定の厚い壁

2024-08-27T15:37:56+09:00

米軍ヘリの回転するローターでえぐられた跡が残る壁の前で、当時を振り返る富川さん(12日、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大で)=浦上太介撮影 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に隣接する沖縄国際大に米軍ヘリコプターが墜落した事故から13日で20年となった。日本側の現場検証は日米地位協定を根拠に認められず、その運用は今も変わらない。当時を知る関係者は「いつになったら沖縄の安全は守られるのか」と危機感を抱いている。  「日米地位協定の厚い壁を思い知らされた」。元学長の富川盛武さん(76)は12日、ヘリのローターでえぐられた跡が残る同大旧本館のモニュメント前で振り返った。 事故当時、産業情報学部長だった富川さんが駆けつけると、機体が大破して黒煙を上げ、報道陣の撮影を阻止する米兵に住民らから怒号が飛んでいた。その後、米軍は本館を封鎖。職員は「大学の私有地だ」と抗議したが、米兵に「ノー」と押し返された。「敷地内に立ち入れない理不尽な状況。なすすべがなかった」と唇をかむ。 日米地位協定の「合意議事録」には、「日本の当局は米軍の財産を捜索、差し押さえ、または検証を行う権利を行使しない」と記されている。それでも、沖縄県警は航空危険行為処罰法違反容疑で検証令状を取り、事故翌日に在沖縄米軍側と面会。日米合同の現場検証を要請した。 「我々には捜査権がある」。当時の県警捜査1課長、石垣栄一さん(76)はテーブルをたたいて主張したが、後日、「同意できない」との回答があった。 県警が現場検証できたのは発生6日後。既に米軍が機体を回収していた。事故原因とされた整備不良に関わった米兵らの氏名特定には至らず、不起訴となった。石垣さんは今も、「軍事機密に関わるとはいえ、この現状はおかしい。被害を受けた県民は納得できないはずだ」と悔しがる。◇ 日米両政府は2005年、基地外での米軍機事故に関する指針を策定し、事故現場の規制を日米合同で行うことを確認し、合同訓練も毎年続いている。だが、捜索や検証に米側の同意を要する状況は変わらない。 同大学長を経て、17年に副知事に就任した富川さんは「県外の人に『自分ごと』として考えてほしい」と、米軍基地がある諸外国の地位協定調査事業に力を入れた。退任後の今年3月、「ドイツは自国で現場を規制して主体的に調査に関与する」などの内容をまとめた報告書が公表された。 富川さんは「基地所在地の市民の安全・安心が守られなければ、日米の安全保障体制は保たれない。日米両政府は運用改善に向けて積極的に議論してほしい」と願っている。   ◆沖縄国際大米軍ヘリ墜落事故= 2004年8月13日午後2時18分頃、普天間飛行場を離陸した大型輸送ヘリが大学本館に接触しながら墜落し、炎上。搭乗していた米兵3人が重軽傷を負った。学生や住民にけがはなかったが、機体の破片などが住宅地に飛び散り、窓ガラスが割れるなどの被害が出た。 事故で焼け焦げたアカギの木(右手前)の前で開かれた集会(13日午後、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大で)記憶 語り継ぐ 事故現場で集会 沖縄国際大は13日、ヘリ墜落事故で焼け焦げたアカギの木の前で集会を開き、事故の記憶を語り継ぐ決意を新たにした。  集会で 安里(あさと) 肇学長(56)は、普天間飛行場の返還合意から28年が経過したことや、米軍による事件・事故が後を絶たないことに触れ、「変わらぬ現状に強い憤りを感じる」と述べた。その上で「大学や地域社会の平穏・安寧を脅かす普天間基地の固定化を認めることはできない」と強調した。

米軍に封鎖された大学、職員の抗議届かず…ヘリ墜落から20年たっても変わらない地位協定の厚い壁2024-08-27T15:37:56+09:00

日本語指導が必要な子ども、最多の6万9123人…10年で倍増

2024-08-27T15:37:53+09:00

 公立小中高校などで日本語指導を必要とする児童生徒が2023年度は6万9123人で、過去最多を更新したことが8日、文部科学省の調査でわかった。前回の21年度調査よりも1万816人増え、約10年で倍増した。人口減少による人手不足で海外人材の受け入れが拡大し、家族で日本に移り住む外国人が増えていることが背景にある。文部科学省 調査は全国の1788自治体が対象で、昨年5月1日時点の状況を尋ねた。日本語で十分に会話できず、日本語の指導などが必要だと学校が判断した児童生徒は、外国籍が5万7718人(前回比1万99人増)、日本国籍が1万1405人(同717人増)。日本国籍でも、海外生活が長く、日本語を十分に話せない子どももいる。  日本語指導が必要な中学生の進学率は90・3%で、全中学生(99%)と9ポイント近く差があった。中退した高校生の割合は8・5%(高校生全体は1・1%)と高かった。 メーカーの工場で働く日系ブラジル人が多い群馬県大泉町では近年、フィリピンやネパール、ベトナムなどから来た住民が増えている。町教育委員会によると、外国人の小中学生は計649人(今年5月1日時点)で全体の2割を占める。学校では自動翻訳機を使ったり、通訳を雇ったりするが、十分に対応できていないという。 文科省は日本語指導を必要とする児童生徒を支援する人材配置を財政支援しているが、町教委の岡田健児教育指導課長は「国や県には、さらなる人材配置や予算の拡充を検討してほしい」と要望している。 文部科学省は8日、昨年5月時点で国内に在住している外国籍の子ども8601人が就学していない「不就学」の可能性があると発表した。22年度の前回調査より418人増加した。 住民基本台帳に登録されている小中学生に相当する外国籍の子どもは昨年5月時点で計15万695人。このうち、学校に通っていないと確認されたのは970人だった。このほか、連絡がつかなかった7199人と、住民基本台帳への登録はあるものの教育委員会が把握していなかった432人も就学していない可能性がある。 外国籍の子どもに就学義務はないが、保護者が希望する場合、公立小中学校は日本人と同様に無償で受け入れている。

日本語指導が必要な子ども、最多の6万9123人…10年で倍増2024-08-27T15:37:53+09:00

世界的に珍しい学校のプール、熱心な水泳授業は武芸が由来?…見直される学ぶ目的

2024-08-27T15:37:51+09:00

 夏の学校といえば、水泳授業を思い出す。日本の小学校は9割に屋外プールがあるほど水泳に熱心だが、外国ではプールのある学校自体が珍しい。なぜ授業で水泳を学び、学校プールが普及したのか。調べてみた。 「宝くじ」の始まりは「万里の長城」の整備費用か…「億超え」当選金は平成から 公立小学校での設置率9割 文部科学省の調査によると、公立小学校の屋外プール設置率は、2018年度に94%に達した。水泳教育に詳しい鳴門教育大・松井敦典教授(64)は「オランダやドイツも水泳授業はあるが、公営プールで行う。国際学会で日本の公立校の多くにプールがあると話すと驚かれる」と語る。 高校生ら約300人が犠牲となった14年の「セウォル号」沈没事故後、水泳の授業に力を入れる韓国でも、小学校のプール設置率は2%という。 学校で水泳を習う日本独自の教育は、武士が命を守るために学ぶ武芸の一つだった伝統が背景にある。 日本は海に囲まれ川も多く、戦で敗走する際は乗馬と共に水泳の技法が命運を分けるとされた。「波を立てない」「刀を持ちながら」などの特色がある古式泳法が、日本水泳連盟が認めるものだけでも各地に13流派残る。日本最古のプールも約200年前の江戸時代に、会津藩や長州藩が藩校の一角に設けた「水練場」とされる。 水泳の歴史に詳しい国際武道大学の土居陽治郎教授(64)によると、水泳授業が広まったきっかけも、子どもの命を守るためだった。1955年に高松市沖で修学旅行中の小中学生が乗った連絡船「紫雲丸」が沈没し、168人が犠牲になる水難事故が起きると、子どもたちが学校で水泳を学ぶためには、プールが必要との声が高まったという。オリンピックきっかけに建設ラッシュ 学校プールの建設ラッシュは60~70年代に全国で一斉に起きた。きっかけは64年の東京五輪開催と競泳人気の高まりだった。開催に向けて61年に制定されたスポーツ振興法により、建設に国の補助金が出るようになった。68年に改定された学習指導要領で、「すもう」などと並ぶ「その他」の運動だった水泳が、跳び箱などの器械運動や陸上競技と並ぶ主要な運動に“格上げ”された影響も大きかった。 学校プールにはスタート台が付設され、授業ではクロールや平泳ぎなどの泳法の練習に多くの時間が割かれている。一方で、溺れた時に備える着衣水泳は年1回程度にとどまるのが現状だ。土居教授は「命を守るためなのか、スポーツとして学ぶのか。水泳授業の使命は曖昧になっている」と指摘する。50年以上経過し、民間利用へ移行 全国に広まった学校プールは現在、急減している。建設から50年以上が経過し、建て替えや修繕が必要だが、億単位の費用がかかるため、廃止される学校が相次いでいるからだ。 2021年度の公立小学校の屋外プールの設置率は87%と、わずか3年で7ポイント減った。文科省の22年度調査では、小学校の約1割は水泳授業を学外で行っていた。 水道代や、清掃や水質管理をする教員の負担が重いこと、小学校教員が水泳指導の専門性を担保することが難しいことなども課題とされ、授業は公営プールや民間のスイミングクラブを利用する動きが広がっている。今年度も、京都市、鹿児島市、東京都福生市などが水泳授業の民間委託を試行的に開始した。 小中学校の学習指導要領で水泳は必修だが、実は、水泳場が確保できない場合は、実技を扱わなくてもよいとされている。プールがない学校がさらに増えると見込まれる中、水泳授業は何を目的とするのか。学外で実技を扱う場合、児童・生徒の安全はどう確保するのか。改めて水泳授業のあり方を見直す時期にきている。 残り:576文字/全文:2057文字 読者会員限定記事です 新規登録ですぐ読む(読売新聞ご購読の方) 読者会員の方はこちらからログイン

世界的に珍しい学校のプール、熱心な水泳授業は武芸が由来?…見直される学ぶ目的2024-08-27T15:37:51+09:00

中学・高校の国語教員採用予定55人なのに出願27人…新潟県、追加募集へ

2024-08-27T15:37:49+09:00

 新潟県教育委員会は1日、2025年度採用の公立校教員の追加募集を行うと発表した。志願者数が少なく、採用予定人数を確保できない恐れがあるためで、11月下旬に初実施となる秋選考を予定している。 県教委によると、追加募集の対象は、中学・高校(国語、英語)と小学校、特別支援学校。一部で志願者数が採用予定人数に達しておらず、それ以外でも今後の辞退状況によっては不足が懸念されるという。  特に中学・高校の国語の応募状況が深刻で、55人の採用予定に対し、出願は27人にとどまった。英語の志願者数も採用予定人数より2人少ない38人だった。志願者数が採用予定人数を下回る事態は今回が初めてという。 実施要項は9月上旬に県ホームページで公開する。現在行われている本選考の不合格者も応募できる。県教委の担当者は「少しでも迷っている人は、積極的にチャレンジしてほしい」と話している。

中学・高校の国語教員採用予定55人なのに出願27人…新潟県、追加募集へ2024-08-27T15:37:49+09:00

[特集]疑問解消 インターンシップ活用術

2024-08-27T15:37:47+09:00

 夏のインターンシップ(就業体験)がピークを迎えている。インターンから就職活動を始める学生は多いが、「なんとなく」「周囲もやっているから」と漫然と参加していないだろうか。「なぜ参加するのか?」「どう活用したらいいのか?」。貴重な体験を生かすために、3人の識者に疑問をぶつけ、助言を求めた。(江原桂都)私たちが答えます 元リクの熱血キャリセン職員 淡野健 さん(62)  リクルートで広告営業や新卒採用などを担当。起業を経て、2010年から母校の学習院大キャリアセンターに勤める。学生と、テニスや野球などのスポーツをこよなく愛する。 インターン歴4年半 最強OG トテ・ジェニファー麻綾 さん(23)  高3から複数のインターンに参加し、大学在学中に「学生がキャリアアップするためのインターンシップ活用術」(総合法令出版)を出版。今春、外資系大手IT企業に入社。 ほほ笑み就活プロフェッサー 岡崎浩二 さん(43)  東京都立産業技術大学院大特任准教授の顔を持つキャリアコンサルタント。全国10大学で就職を支援し、AI選考など最新技術に詳しい。笑顔で学生に寄り添う。 準備Q [...]

[特集]疑問解消 インターンシップ活用術2024-08-27T15:37:47+09:00

「入社後ギャップ」をなくすには/読売新聞東京本社経済部デスク 鎌田秀男

2024-08-27T15:37:45+09:00

「就活コラム」は、就活の最新事情に詳しい記者や専門家が書き下ろしたコラムを掲載しています。 大型連休が明けてから1か月がたつ。「五月病」にかかってしまった方は、本調子に戻られただろうか。 手元の辞書は、「新年度の4月に入学・入社した新人に、5月ごろになると現れる精神の不安定状態をいう」と解説している。もともとは、ハードな受験戦争を終えた学生が、大学入学後に目的意識を失って放心する様子を指したというが、今では社会全般で見られる現象だ。 最近では、「精神の不安定」にとどまらず、退職にまで追い込まれる新入社員も多いという。本人に代わって退職の意思を伝える「退職代行」というサービスが大忙しだというニュースまである。  こうした離職の原因は、連休明けに陥る 憂(ゆう)鬱(うつ) だけでなく、入社後の職場で感じたギャップも大きいようだ。  企業組織の変革をサポートするユニポス(東京都)が今年2月に実施した調査(会社員550人が回答)によると、入社前に自分が思っていた「企業風土・カルチャー」と、入社後の認識にズレ(ギャップ)があったと感じた人は61・9%に達した。 調査対象者のうち65・5%は転職を経験しているが、うち「企業風土・カルチャーが退職の要因だった」と振り返った人は59・8%に上った。収入など待遇面だけでは測れない距離感が、離職を選ばせてしまったということだろうか。 求人サイトを運営するエン・ジャパン(東京都)が昨夏に実施した調査(同社の派遣求職サイトの利用者2626人が回答)では、入社後に仕事内容や職場の雰囲気などでギャップを感じたことがある人は79%に上ったといい、うち55%はギャップが原因で仕事を辞めたことがあるという。 同社によると、新入社員が入社3か月で離職した場合の企業側の損失は、1人あたり187万円に上る。入社後の心理状況の変化を回答してもらい、不幸な離職に至らないようフォローするサービスが、多くの企業に受け入れられているという。  こうした入社後ギャップを解消するにはどうすればよいか。大手金融企業の人事担当・Kさんが心がけるのは、長い就職活動期間を通じ、現場で働く社員との接点を増やすことだという。「入社後に、『思っていた会社と違った』と言われるのを減らすため、会社の業務、風土、雰囲気を理解してもらうのが一番です」と語る。 ただ、Kさんが働くのは、モーレツ営業で知られた体育会系の業界だったはず。筆者も何年か取材した経験上、入社後には厳しい洗礼が待っているのではないかと想像するが……。 「確かに、かつては収益を上げるかどうかが評価基準でした。しかし今は、お客さまのことを考えられない社員は評価されません。会社全体が変化しており、求める人材像も変化しています」とKさん。 「楽しく、笑いながら」進める面接では、コミュニケーションの中からにじみ出る「人柄」を見極めるのだという。就職活動を続けている学生の皆さんも、「この職場で気持ちよく働くことができるのか」をよく見極めて企業を選んでほしい。プロフィル 鎌田 秀男( かまた・ひでお )  テレビの地方局に2年在籍した後、2000年に入社。転職した理由は、企業風土のギャップではなく、新聞記者になることをあきらめきれなかったからでした。就活会員募集中  読売新聞オンラインの就活会員になると、ほぼすべての記事が半年間、無料で閲覧できます。登録は こちら から。

「入社後ギャップ」をなくすには/読売新聞東京本社経済部デスク 鎌田秀男2024-08-27T15:37:45+09:00

受験と違う就活/読売新聞教育部デスク「就活ON!」担当 恒川良輔

2024-08-27T15:37:43+09:00

「就活コラム」は、就活の最新事情に詳しい記者や専門家が書き下ろしたコラムを掲載しています。 就活生に向けて「就活の心構え」を話すことがある。伝えたいのは、「就活は受験と違う」ということ。これを実感してもらうのに毎回頭を悩ませる。 20代前半の学生にとって、人生の大きなイベントと言えば受験を挙げる人が多いだろう。学力試験や内申点、時には面接で点数を競い、上位から順番に合格者が決まる。入学試験は身に染みた制度だ。その経験から言えば、適性検査や筆記試験、面接があり、上位の成績から順番に内定を出していると思える企業の採用選考は、受験にほかならない。いかに効率良く正解を導き出して、ライバルより高い点数を上げるか。大学のキャリアセンターで、エントリーシートや面接の「模範解答を教えてほしい」と相談する学生がいるのは、受験のノリで就活に臨んでいるからだ。 形は似ているが、就活と受験は全然違う。まず、根本的な違いは、受験生は、学校にとって受験料や、合格後は授業料を払ってくれる「お客さま」であることだ。一方、就活生はお金を払わない。企業は、学生1人あたり平均約100万円の費用をかけて選考し、採用した学生にお金(給料)を払う。つまり、お金を払うのは企業側であり、対価である商品を提供するのは就活生だ。 ここで言う商品とは、就活生自身であり、企業活動にいかに貢献できるかという価値だ。よく言われることだが、就活とは、自分を商品として様々な企業に売り込む「営業活動」にほかならない。当然、企業は「お買い得」だと思えば採用し、コストに見合わないと思えば「いらない」と言う。勘違いしている就活生が多いが、企業は「一緒に働きたい」と思える多種多様な人材を欲しているのであって、成績が優秀な人材を上から輪切りで選んでいるのではない。試験の成績よりも面接が重視されるのは、偏差値などでは測れない「商品」の中身を知りたいのだ。  就活を「恋愛」に例えて話したこともある。人を好きになるポイントは、容姿や性格、価値観など千差万別。就活生の志望動機が、仕事内容や福利厚生、給料や知名度、勤務地のように人によって違うのと同じだ。企業の選考基準も同様。入学試験のような唯一の正解などない。自分の「好み」や相手との「相性」は自分にしかわからないし、自分でもわからない時が多い。だから、自己分析が必要だし、相手の「好み」や「性格」を知る業界・企業研究が必須なのだ。 「結婚」もたとえ話に使った。3年以内の早期離婚は、2000年代は3割あった。性格の不一致などが主な理由だ。実は新卒入社の3年以内に離職率も同じ3割に達する。理由の大半は「(仕事や給料、人間関係が)自分に合わないと気付いた」というものだ。素の自分を押し殺し、相手の好みに合わせて振る舞うと、例え結婚(入社)できても、後で互いが不幸になるのは共通だ。 ……ということを熱く語るのだが、あまり伝わらない。たいていの学生は「ぽかーん」としたり、消化不良を起こしたような顔をしたりする。「営業」も「結婚」も学生はしたことがない人ばかり。未婚男女の7割に恋人がおらず、3割は付き合った経験がないという調査結果もある。「恋愛」も遠いのかしら。はやりの「推し活」で「就活」を説明できないだろうか。「活」しか合っていないな。悩みは尽きない。プロフィル 恒川 良輔( つねかわ・りょうすけ )  1999年入社。就活時は「記者として雇ってくれる会社なら、どこでも働く」を信条に、放送局、出版社、新聞社を受験していた。初任地は札幌。教育部では就活や大学取材を担当している。2019年から2年間、山形支局に赴任。就活会員募集中  読売新聞オンラインの就活会員になると、ほぼすべての記事が半年間、無料で閲覧できます。登録は こちら から。

受験と違う就活/読売新聞教育部デスク「就活ON!」担当 恒川良輔2024-08-27T15:37:43+09:00
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